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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第34章 女神と魔王③
 フィーネは反射的に瞳を閉じ、唇にのった温もりを受け入れる。

 何度も何度も交わしたキス。

 いつもの情欲に塗れたそれではなく、もっと純粋で、相手を想う愛情に満ちているように思えた。

 温もりが遠ざかる。
 瞳をゆっくり開くと、互いの視線が合った。

 次の瞬間、フィーネの身体は強く抱きしめられていた。
 真剣な声色が告げる。

「フィーネ、お前を愛している。出来ることなら、ずっと私の傍にいて欲しい」

 一瞬、彼が何を言っているのか分からなかった。
 そんなこと、あり得ないと思った。

 しかし言葉の意味を理解した時、心臓が激しく脈打ち、全身を駆け回り、呼吸が乱れて上手く息が吸えなくなった。身体中に発生する急激な熱上昇は、頬から耳の先までを真っ赤に染めあげる。
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