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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第42章 監禁②
 胴に食い込むように縛られた鎖の先には、大きな錠がかけられており、鍵がなければ拘束を解くことが出来なさそうだ。

 そしてフィーネ自身は、部屋の壁に打ち付けられた鎖に両手を繋がれ、自由を奪われている状態だった。

 陰湿な密室だが、この場所に見覚えがあった。

(ここは、聖地の地下牢だわ)

 過去に、彼女を襲った男たちが収監されていたことを思い出す。

 聖地に戻って来た。
 このような、最悪ともいえる形で。

 その時、気を失っていたソルが身じろぎした。
 フィーネの思考が、一瞬にして彼への心配で一杯になった。

「ソル‼」

 すぐにでも彼に駆け寄りたい。
 その身を癒したい。

 しかし、両手の鎖がそれを許さない。拘束が緩まないか、何度も激しく打ち付けてみたが、フィーネの手首に傷がついただけだった。

 鎖の音を聞いたのだろう。
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