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第46章 屈辱②

　ラファは邪神。
　人には起こせぬ奇跡を見せ、人間たちに自分を女神ピアチェだと信じ込ませるなど、容易だったに違いない。

（私がディザニア国で穏やかに過ごしている間に、こんなことになっているなんて……）

　自分を道具として育てて来た聖地に、思い入れはない。しかし長い間過ごしてきた場所と人々が、理不尽に蹂躙させれているのを見て、内心穏やかでいられるわけがなかった。

「もうじき、私と聖地の力全てがガーランドに注がれ、最強の勇者が生まれるわぁ。後は魔王から、聖女の力とピアチェの力の根源を奪えば、結界を無力化できる。ディザニア国を……滅ぼすことが出来るわ」

　フィーネの心臓が跳ね上がった。

　脳裏に、アンジェラや自分を大切にしてくれた気の良い魔族たちの姿が過ぎる。

　争いを望まぬ彼らが、戦火に晒される。
　足元から指先から、血の気が引いていくのが分かった。