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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第48章 脱走②
 結界まで辿り着ければ、少なくともソルは安全だ。

 そう思い、森の中を駆けていたのだが、フィーネに身体を預けるようにして乗っていたソルの身体がぐらりと揺れた。

 慌てて馬を止め、彼の身体を支えるフィーネ。馬から落ちることはなかったが、また再び同じようなことが起きることは予想できた。

(ソルの体力に限界が来てる……)

 リリアが死なないように世話をしてくれていたとはいえ、あれだけ毎日のように痛めつけられてきたのだ。

 それに胸にはまだ、力を奪うナイフが刺さっており、少なくなった力を奪い続けている。

 彼の体力が限界間近でも、おかしくはなかった。

「ソル、しっかりして!」

「フィーネ……大丈夫だ……さ、先を……急がないと……お前の身が……きけん……」

 薄っすら翠色の瞳を開き、弱々しく笑う。
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