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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第49章 治療①
座り込み、膝の上で握りしめた拳に、ポツポツと水滴が落ちた。
それが自身の涙だと気づいた時、激しい怒りが湧いた。
(また……泣くの? その弱さが……全てを引き起こした原因だと言うのに!)
元々、フィーネの心が弱っていなければ、ディザニア国で本当の意味での強さを取り戻していれば、ソルをこんな危険な目に合わせることなどなかったのだ。
思えば思うほど、熱くなる気持ちとは反対に涙が止まらない。
その時、温かいものが頬の涙を拭った。
「フィーネ……泣くな。お前には……えがお……が似合っている……だから……」
フィーネの頬に触れるのは、ソルの手。動くもの辛いはずなのに、彼女を慰めるために涙を拭ってくれた。
それが自身の涙だと気づいた時、激しい怒りが湧いた。
(また……泣くの? その弱さが……全てを引き起こした原因だと言うのに!)
元々、フィーネの心が弱っていなければ、ディザニア国で本当の意味での強さを取り戻していれば、ソルをこんな危険な目に合わせることなどなかったのだ。
思えば思うほど、熱くなる気持ちとは反対に涙が止まらない。
その時、温かいものが頬の涙を拭った。
「フィーネ……泣くな。お前には……えがお……が似合っている……だから……」
フィーネの頬に触れるのは、ソルの手。動くもの辛いはずなのに、彼女を慰めるために涙を拭ってくれた。