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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第52章 治療④
 全てを吐き出し、冷静さを取り戻した様子のソルが、穏やかな表情を浮かべ、そっとフィーネの額に唇を落とした。

 温もりを額に受けながら、フィーネが唇を尖らせる。

「もうっ……身体が癒えたなら逃げなければと言ったのに……」

 そう言って上目遣いで軽く睨む。
 しかし、目の前の男から反省の色は見られない。

 むしろ同罪だと言うかのように笑う。

「そう言いながら、気持ちよさそうに喘いでいたお前に言われてもな……」

「なっ……それは……その……だって……あんなに激しくされたら……」

 止められるわけがない。

 その言葉は、恥ずかしさでもにょもにょ動く口の中で意味を失い、消えてしまう。

 しかしソルには通じたのだろう。 
 血色を取り戻した唇を、フィーネの耳元に寄せると、欲情冷めやらぬ様子で呟いた。
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