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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第53章 目覚め①
(どう考えても……戦力に圧倒的な差があるわ……)
自分の無力さに、唇を噛む。
強大な敵を目の前にし、恐怖で手が震えた。
その時、ソルがフィーネの耳元で囁いた。
「……フィーネ。ここは私が時間を稼ぐ。お前は馬に乗りとにかく逃げろ」
「……え?」
「勇者は、何とかなるだろう。しかし私が魔王と呼ばれ、強大な力を持っていても……女神には勝てない」
喉の奥から絞り出すような、ソルの言葉。
フィーネを守り切れない悔しさで満ちた声色に、胸の奥が締め付けられた。
今までラファが魔王に手を出さなかったのは、下手にピアチェの力を奪おうとして、自身の身が傷つけられたくなかったから。
怠惰で欲望に忠実な邪神が、身を削るようなことをするわけがない。
しかし、こうして勇者を連れ立ち、直接対決になると話は違ってくる。
自分の無力さに、唇を噛む。
強大な敵を目の前にし、恐怖で手が震えた。
その時、ソルがフィーネの耳元で囁いた。
「……フィーネ。ここは私が時間を稼ぐ。お前は馬に乗りとにかく逃げろ」
「……え?」
「勇者は、何とかなるだろう。しかし私が魔王と呼ばれ、強大な力を持っていても……女神には勝てない」
喉の奥から絞り出すような、ソルの言葉。
フィーネを守り切れない悔しさで満ちた声色に、胸の奥が締め付けられた。
今までラファが魔王に手を出さなかったのは、下手にピアチェの力を奪おうとして、自身の身が傷つけられたくなかったから。
怠惰で欲望に忠実な邪神が、身を削るようなことをするわけがない。
しかし、こうして勇者を連れ立ち、直接対決になると話は違ってくる。