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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第53章 目覚め①
ソルはそう説明すると、フィーネを安心させるように表情を明るくした。
「私が時間稼ぎをする。大丈夫だ。勝てなくても、すぐに殺されることはない。お前が無事逃げられたら、私も隙を見て逃げる」
しかし、額から流れた汗が彼の緊張、作戦の成功確率の低さが物語っていた。
(最後の最後まで私を……)
目頭が熱くなり、ぎゅっと双眸を閉じる。
色々な記憶が、想いが、駆け巡った。
その大半は、ソルと出会い、ディザニア国で過ごした日々のこと。
穏やかで愛され尽くされた毎日。
それが人生の喜び、全てだった。
赤い瞳が決意に満ちた光を湛え、開かれる。
手の震えは、止まっていた。
「何をしている、フィーネ! 下がれ!」
驚きの混じったソルの怒声が、響き渡った。
フィーネがソルとガーランドの間に割って入ったからだ。
「私が時間稼ぎをする。大丈夫だ。勝てなくても、すぐに殺されることはない。お前が無事逃げられたら、私も隙を見て逃げる」
しかし、額から流れた汗が彼の緊張、作戦の成功確率の低さが物語っていた。
(最後の最後まで私を……)
目頭が熱くなり、ぎゅっと双眸を閉じる。
色々な記憶が、想いが、駆け巡った。
その大半は、ソルと出会い、ディザニア国で過ごした日々のこと。
穏やかで愛され尽くされた毎日。
それが人生の喜び、全てだった。
赤い瞳が決意に満ちた光を湛え、開かれる。
手の震えは、止まっていた。
「何をしている、フィーネ! 下がれ!」
驚きの混じったソルの怒声が、響き渡った。
フィーネがソルとガーランドの間に割って入ったからだ。