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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第55章 目覚め③
 文句を言おうと口を開こうとしたガーランドを、ラファは憎しみに染まった視線を向けて黙らせると、ふんっと鼻で笑った。

「二十年前、魔族を滅ぼせと下されたピアチェの神託は、私の言葉だ。その後の神託も……お前を勇者に選んだのも全てな。お前たち人間は、私に騙されて愚かな戦いを続けていたのだよ」

「な、なんだ……と……? ララ……お前は一体……」

 ガーランドは、ララの正体を知らなかったのだろう。
 
 ラファが楽しそうに口元を歪めた瞬間、色気を放っていた彼女の身体に変化が起きた。

 フィーネと同じく、ラファの頭上に二つの黒い輪が現れると、その両端に大きな角が現れたのだ。

 背面にも太く黒い輪が出現すると、その輪の両端からぬめぬめとした長い触手が生えだした。

 顔を上げたラファの額には、黒く禍々しいオーラを放つ、逆三角形の石。

 邪神ラファの、力の根源だ。
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