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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第58章 再会②
一つは、身体がボロボロで動かないこと。
もう一つは、ソルたちの世界を戦いに巻き込まないよう異空間で戦っていたが、あまりにも遠くに来てしまったため、帰り道が分からなくなってしまったことだ。
(帰りたい……ディザニアに……)
瞳を閉じると、自然豊かな、かの国が浮かび上がった。
ソルとともに見た、広大な大地と魔族たちの慎ましい営みが混じり合ったあの風景が、母のように見守ってくれたアンジェラの微笑みと、優しく接してくれた魔族たちの賑やかな笑い声が、フィーネの中で、まるで今そこにあるかのように蘇る。
さらに涙で歪む視界に、最愛の人の姿が浮かび上がった。思い出の中で、銀色の髪が揺れ、翠色の瞳が優しく細められる。
(……ソル)
自分の妄想だと分かっていても、手を伸ばさずにはいられない。それなのにこの手は動かない。
彼と別れたあの日から、一体どれだけの月日が経っているのだろう。
もう一つは、ソルたちの世界を戦いに巻き込まないよう異空間で戦っていたが、あまりにも遠くに来てしまったため、帰り道が分からなくなってしまったことだ。
(帰りたい……ディザニアに……)
瞳を閉じると、自然豊かな、かの国が浮かび上がった。
ソルとともに見た、広大な大地と魔族たちの慎ましい営みが混じり合ったあの風景が、母のように見守ってくれたアンジェラの微笑みと、優しく接してくれた魔族たちの賑やかな笑い声が、フィーネの中で、まるで今そこにあるかのように蘇る。
さらに涙で歪む視界に、最愛の人の姿が浮かび上がった。思い出の中で、銀色の髪が揺れ、翠色の瞳が優しく細められる。
(……ソル)
自分の妄想だと分かっていても、手を伸ばさずにはいられない。それなのにこの手は動かない。
彼と別れたあの日から、一体どれだけの月日が経っているのだろう。