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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第59章 再会③
「彼も待っているのですね、あなたの帰りを。でなければ、こんな場所にまで、想いを繋げていられるわけがない。彼の想いが、道しるべとなってあなたを導くでしょう。良き者と……出会ったのですね」

 母神の言葉に、フィーネは涙を流しながら強く頷いた。

「そう……です。彼は……ずっと私とともに生きてくれた、大切な、大切な……」

 声が詰まってそれ以上言葉が出ない。またしゃくりあがりそうになった声を、力を入れて何とか押しとどめる。

 フィーネですら帰り道が分からない、それほど彼が住む世界から遠く離れているにもかかわらず、彼の想いは常にフィーネと寄り添い、共にあったのだと、銀色の軌跡が物語っていた。

 改めて、彼の強い愛情を想い、絶望で埋まりかけていた心に温かさが戻ってきた。いや、それ以上の感動が、心を震わせる。

 ソルの強い想いに。
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