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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第61章 これから①
「騒がしくてすまない。皆、お前の帰還が嬉しいのだ」

「騒がしいだなんて……私も嬉しいの。皆さんにまた会えて、本当に嬉しい」

 そう言って城を見つめるフィーネの肩が、不意に抱き寄せられた。

「私も嬉しい……どれだけこの日を待ちわびたことか……」

 耳元で囁かれ、そっと頰に口づけが落ちる。それをくすぐったそうに笑うと、ソルの胸に抱きついた。
 厚い胸板の奥から、命のリズムが規則正しく鳴り響くのを聴きながら、フィーネは顔を上げた。

「……ソル。大切な話があるの」

「話?」

 フィーネの言葉に、ソルの表情が真剣なものへと変わった。
 彼の言葉に大きく頷くと、この世界に帰ってきてから感じた変化を口にする。

「……もう少ししたらこの世界は、私の力なくとも存在できるようになる。精霊も魔族も……」

 フィーネも気づかなかったが、世界の安定にもラファの存在が関わっていたのだろう。
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