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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第64章 これから④
 両手を縛られ、胸を晒し、さらに目隠しまでされ、彼にあらゆる自由を管理されているにもかかわらず、期待で身体が火照っていく。 

 その時、温かい手がフィーネの肩を掴んだ。彼女の身体を横向きにすると、背中にピッタリつくように、ソルの身体が重なった。

「あっ……」

 思わず声が出て、身体がピクリと震えてしまった。
 背中から腰のあたりが、ソルの体温で温かい。肌が触れ合っただけなのに、視界を隠されていると、どうしても敏感になってしまう。

(彼の息が首筋に……)

 乱れた息がフィーネの首筋を撫で、短い髪を揺らした。それが頰や耳に当たってくすぐったい。
 いつもなら見逃してしまう感覚も、敏感になった肌が詳細に伝えてくる。

 余裕のなさそうな、彼の熱い呼吸も。
 
 気を抜けば洩れてしまう吐息を堪えるように、唾を飲み込んだ。

 くすぐったさは、すぐに別の刺激へと変化した。
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