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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第68章 これから⑧
 本能のまま彼を求める自分を思い出すと、情事の最中に意地悪なことをしたり、意識が跳ぶまで自分を抱き続けた彼に、文句など言えない。

 当の本人の様子を伺うと、どこか真剣な表情でこちらを見ていた。
 羞恥心が、疑問と不安へと変わる。

「どうしたの、ソル?」

 首を傾げながら尋ねると、ハッとした様子で彼の瞳が慌ただしく瞬きを繰り返した。
 どうやら、考え事をしていたらしい。

 ふっと息を吐き出す彼の口元に、柔らかな笑みが浮かんだ。
 フィーネが抱く不安が伝わり、安心させようとしたのだろう。

「いや、大したことじゃない。子ができる前に、お前を王妃として迎える準備をせねば、と思ってな」

「……え?」

 今度はフィーネの瞳が、激しく瞬きを繰り返した。

 少しの間の後、彼の言葉の意味を確認する。
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