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rena's room ☕ breaktime
第3章 Request2┈*★*┈片想いの行方
‟ ちょっとした安定剤だ ”
‟ 不眠症ってだけで、病んでるわけじゃない ”
……今でも時折、あの頃の葵を思い出す。
空港に迎えに行った時の、噛み合わない会話
帰りのバスの中、泥のように眠りに落ちた顔
「……自分の限界を感じない時程、怖いことはないわ」
「……!」
「気付かないうちに、蓄積していた疲労で
突然倒れたりしたらどうするんですか?」
「……」
「姫宮さんが離脱したら
それこそ終わりますよ、この会社」
車のクラクションに、行き交う電車の走行音。
自分の腕をぎゅうっと押さえて、喧騒の中でポツリと呟いた私。
「……早坂」
静かに名前を呼ばれて、一歩近付いてくる彼。
少しは分かってくれたのかなって、ホッとしたけど
「お前、まさかだけど」
全然伝わって無かった。
「瀬名と重ねた?」
「……!」
「日本一の総合商社で働くバケモノと?
転職してキャリアの少ねぇこの俺を?」
「……!!」
「え? マジ?
ははっ、すげーー」