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rena's room ☕ breaktime
第3章 Request2┈*★*┈片想いの行方
「うん、もう試したりしない。
……白いダッフルコートは忘れる」
「……!」
「約束するわ」
鞄を持つ反対側の手に、そっと触れると
優しい力できゅっと握り返してくれた。
視線を逸らした葵の横顔が、綺麗で目が離せないでいると
「……姫宮」
暫くしてから、葵が小さく口を開いた。
「あいつ、結構疲れてんの?」
「……! うん、相当。
葵と比べたら全然って言ってたけど……」
「……」
「……私には愚痴も弱音も吐いてくれない人だから。
もし良かったら、直接姫宮さんに何か声掛けたり……してくれる?」
自分のことは自分でやるべきって
甘いって言った葵だけど
……私の問いかけに小さく頷いたから
なんだか胸がキュンとしてしまった。
「ふふっ♡
やっぱりこういう時って、頼りになるのは男同士なのよね」
ほっこりした気分で、心から納得してそう言ったけど
「いや、違う。 結局は ‟ 自分 ” だ」
「……!」
「その自分が弱ってる時や迷う時
どうしたいのか、どうすべきなのか本来は分かっているけど」
繋いだ私の手を引き寄せて、葵がふっと笑みを浮かべた。
「蘭、お前の言う通りかもな。
こうやって確かめずにはいられない時がある。
俺も、……きっと姫宮も」