この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's room ☕ breaktime
第2章 Request1┈*★*┈唇に媚薬
「俺の胸に、Sって文字が見えるだろ」
「……!」
「何の略だと思う?」
抱きしめた理由を聞いてるのに、的を得ない俺の質問返しで
案の定、蘭が眉を潜めた。
「……エス?」
「有名なトレードマーク。
映画や本で観たことねぇ?」
「ごめん葵。
そもそも冒頭の ‟ 俺の胸に… ” ってくだりから意味不明なんだけど…」
「メガヒットヒーローなのに知らねぇのかよ」
いやだからなんの話!? と混乱する蘭の前で
俺の頭の中で、数時間前の会話がフラッシュバックしてる。
“ 瀬名さんの愛称、スーパーマンの略? ”
“ お前はみんなのヒーローだ ”
……んなわけあるか。
「スーパーマンのSは蓮」
「……!」
「真の英雄はあいつで、俺は違う。
人を救えないサディストのSだ」
「………」
「偉そうにドS面して、新人にすら優しくできない。
する気さえ無い」
それが嘘偽りない、俺なんだけど
……不思議なくらい
今、この瞬間
胸に灯るこの温かい感情も
“ 自分自身 ” なんだと素直に感じることが出来るのは……