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はじめてのひと。
第8章 日常
静かに香那が口を開く。

「…じゃあ、どちらかの想い人…写真を取って置いてるところからすると千紘くんの元・想い人…」


「…やっぱりそう、かな…」

彼の口から聞くのが怖くてあれ以上は聞けなかったけどなんとなく予感はしてた。

「思い切って聞いてみる勇気があるならそれもアリだと思うけど…」

「ん〜、今は聞きたくないって言うのが正直なとこかなぁ」

過去は誰にでも、私でも片思いの一つや二つあるんだから千紘くんにだってあって当然…

千紘くんはまだ彼女のこと思ったりしてるのかな…

「しっかり彼にハマってるね、綾は。」

紗織が私の頭をわしゃわしゃと撫でながら言う。その様子を見ていた真純は身を乗り出して訴える。

「何か羨ましいっ!私も素敵な恋がしたいー!」

「真純は喋らなければモテると思うけどねー。」

紗織は呆れたように言う。
香那は紗織 に同意したように頷くとこちらを見る。

「とりあえず、今は今まで通りに過ごしておくしかないかもね…また溜まったら吐き出しなよ!話聞くから!」

「ありがと!とりあえず頑張る。」

皆に話を聞いてもらえて少し落ち着いた気がする。

講義の終わりを知らせるチャイムが聞こえる。

私達は次の講義に出るため食堂を後にした。


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