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はじめてのひと。
第6章 心と距離
「わかった!着いたら連絡してね(^^)」


私は荷物の最終確認をして家族と共に駅へと向かった。



帰るには電車で3時間程かかる。



やはり家族と離れる時は寂しいし名残惜しい。母親に身体は大事にして勉強がんばんなさい、と見送られながら改札を通る。

振り返って手を振る。
見えなくなるまでいつも見送ってくれる。
こんな時いつもあと1日くらいいたいなぁ、と思ってしまう。



階段を上がり大勢の人が行き交うホームで電車を待つ。



寂しい気持ちと待ち遠しい気持ちがごっちゃになって今の気持ちをうまく表現できない。別れの時は何となく感傷的だ。また会えるのに何でだろう。発車していく電車を見送りながらそんなことを考える。


お母さん達は駅を出たかな…

彼は何をしているだろう…



考えていると電車が到着するアナウンスが構内に流れ、銀色の車体をした電車が目の前に止まった。



向かう先か田舎だからか乗客はそれほどいない。



席につき、車窓から景色を眺めていると電車が動き出した。


高いビルが所狭しと建ち並び、人工の建造物ばかりの街中を通り過ぎると、青々とした葉を広げて太陽の光を浴びる木々や、遠くの山の稜線まで見渡せるほど青く透き通った空、そこを流れる上質な綿のような雲が目の前に広がる。
吹く風は夏の瑞々しい木々や花の香りを乗せて車内に癒しを運んでくれる。





その景色にどれくらい見惚れていたのか、車掌のアナウンスでハッと我に帰り後少しで降車駅であることに気づいた。




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