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はじめてのひと。
第6章 心と距離
鍵を開けてくれ、お先にどうぞと中へいれてくれた。


部屋に通されると、座る間もなく彼に腕を引き寄せられ彼との距離がぐんと縮まった。


いきなりすぎて声も出ないまま、彼の胸の中に収まった。

彼の両手が私の背中へゆっくり回る。

少しぎこちなく私の体をやんわりと抱きとめた。

私も両手を彼の背中へと回す。


彼が私の髪に顔を埋めるように呟いた。


「…会いたかったぁーー…」

素直に嬉しい。けれど言われ慣れてない言葉に心臓が制御不能で倍の速さになる。


顔を上げると彼と目が合う。


彼がゆっくりと近づいて、視界が彼で覆われる。


見られているのが恥ずかしくて目を瞑る。


唇に柔らかい感触。


そっと重ねるくらいの優しいキス…


でも彼の唇や吐息は熱を帯びていて私にも伝わるーー



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