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はじめてのひと。
第7章 甘い時間
「何しよ…っひゃ!」

私が言い終わらないうちに彼は私を抱きしめた。

「こう…は?」

そう囁くように言われるとじんわり身体の奥が熱くなる。

彼の胸にくっつけた頬に彼の体温とともに洗剤の匂いに混じって微かに甘いような男っぽいような彼の匂いがする。

彼の少し速い鼓動が耳に響く。


千紘くんも緊張してるんだろなぁ…


私は体を捻じり彼にしっかりと抱きついた。しっかりとした硬さのある背中に腕を回して力を込めた。

言葉で言えない分まで伝われ、と願いを込めて。

彼の骨ばってはいるけれど、すらりと長い指が私の髪を静かに撫でてキスを落とす。その感触が心地よくて彼の腕の中で目を閉じる。

相変わらずどくどくとお互いの鼓動は速いけれど触れていると落ち着く…自分が男性にこんなことできるなんて…今まで味わったことのない感情に驚かされる。

「綾ちゃん…」

呼ばれてはっと顔を上げると彼と視線が合う。穏やかな黒い瞳はその中心に真っ直ぐ私を映している。

その瞳に引き込まれるように視線が絡む。

「千紘く…ん」

まじまじと見つめられると恥ずかしくなり、どうにか視線を逸らそうと自分から唇を重ねる。


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