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はじめてのひと。
第7章 甘い時間
彼の言った通り鍵はあいていたのでそのまま上がった。

「お邪魔しま〜す…」

ドアを開けようとした瞬間、ガチャッという音と共にドアが開き千紘くんが出てきた。

「お帰り。」

「あ…ただいま…。」

驚いた顔のまま返事をしてしまったことに気付き、慌てて口を閉じた。

先に部屋に入っていた千紘くんが私を呼ぶ。

「綾ちゃーん?」

「はーい!」

返事をして部屋に入ると彼はTVを見ながらタオルで頭を拭いている。彼もシャワーを浴びたらしくまだ髪が少し濡れている。

隣へ座ると彼が違うと首を横に振り、自分の前の方を指差す。

「…え⁉︎前に⁉︎」

にっこりと頷く彼。その笑顔は拒否権なしと言わんばかりに訴えている。

おずおずと彼の前に座ると、彼の腕がすっと伸びてきた。
次の瞬間ぐぃっと抱き寄せられて、彼に寄り掛かるような態勢になった。


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