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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第36章 36 出会い
久しぶりにぐっすり眠ったと身体を起こす。小屋の外に出て、男の姿を探したがなかった。
「やっぱり、気が変わって通報しに行ったのかしら……」
不安な気持ちで小屋の周りをうろつき、ふと焼き窯に目が向く。山土で作られた小高い窯は肌色で触るとざらついていてほんのり暖かかった。窯の入り口に目をやると、足が出ているのが見えた。どうやら男は窯の中で眠ったらしい。
ほっと胸をなでおろし、窯の中を覗く。薄暗い空間を目を凝らしてみているとぼんやり中が見えた。
「結構広いのね」
男を起こさないようにそっと入ってみた。暖かく安心感のある空間だ。じっとうずくまっている自分がまるで胎児になって母親の腹の中で永年の安眠を得ている錯覚を起こす。じっと何もせず、話さすこともなく過ごす時間は穏やかで安らいだ。
「退屈じゃないですか?」
声を掛けられてハッと声のほうを向くと男が体を起こしていた。
「不思議ね。窯の中って落ち着くのね」
「ええ。窯は母の胎内ともいわれてます。作品を生み出す場所でもありますから」
「そうなのね」
「今、粥でも作りますから」
男が窯から出たので京湖も後に続いた。
「やっぱり、気が変わって通報しに行ったのかしら……」
不安な気持ちで小屋の周りをうろつき、ふと焼き窯に目が向く。山土で作られた小高い窯は肌色で触るとざらついていてほんのり暖かかった。窯の入り口に目をやると、足が出ているのが見えた。どうやら男は窯の中で眠ったらしい。
ほっと胸をなでおろし、窯の中を覗く。薄暗い空間を目を凝らしてみているとぼんやり中が見えた。
「結構広いのね」
男を起こさないようにそっと入ってみた。暖かく安心感のある空間だ。じっとうずくまっている自分がまるで胎児になって母親の腹の中で永年の安眠を得ている錯覚を起こす。じっと何もせず、話さすこともなく過ごす時間は穏やかで安らいだ。
「退屈じゃないですか?」
声を掛けられてハッと声のほうを向くと男が体を起こしていた。
「不思議ね。窯の中って落ち着くのね」
「ええ。窯は母の胎内ともいわれてます。作品を生み出す場所でもありますから」
「そうなのね」
「今、粥でも作りますから」
男が窯から出たので京湖も後に続いた。