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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第59章 59 懺悔
静かに寝台を離れ、部屋を出た。すぐに庭が見え、柔らかい草の上に陸慶明が座っていて、膝に赤ん坊を乗せてあやしている。
「おじさま」
「やあ、星羅きてたのか」
「ええ、少しお話があったのだけど」
慶明も少しやつれているように見えた。
「何かな。ここでもいいかね」
「もちろん。あの、おめでとうございます。知らなくて」
「ああ、いいんだよ。貴晶、星羅だ。そなたの姉上のようなものだな」
「こんにちは」
「あうぅうむぅっ」
小柄な貴晶は声のほうに応じる。
「賢いですね。もう言ってることがわかるのかしら」
「どうだろうな。でも明樹と違って言葉が早そうだ。この子は少し虚弱だから、考えることのほうに長けているかもしれないね」
貴晶は赤ん坊にしては肉付きがあまり良くない。春衣が体調を悪くし、乳も出ないので乳母を迎えてたっぷり与えているということだが、そもそも量を飲まないらしい。
星羅は春衣がなぜか自分自身を責めている様子に理解ができず、慶明に聞いてみた。
「春衣さんが、自分のせいで赤ん坊が身弱と言ってましたけど、どうしてですか?」
「春衣がそんなことを? さあ、なぜだろうな。確かに子を産むには若くはないが……」
慶明も春衣の言葉の真意を知らない。今も寝台でぶつぶつと晶鈴に懺悔のような言葉をつぶやいている。
「私の後を継ぐのは、明樹ではなく貴晶のようだ。身体こそ強くないが、それが逆に薬師として適正になると思う」
「そうかもしれませんね」
春衣の欲望と独占欲は直接的には満たされなかったが、貴晶が慶明の跡継ぎになるという方向で叶う。残念ながらそうなったときの貴晶の姿を春衣は見ることが叶わないだろう。死の床で晶鈴に、星羅を亡き者にしようとしたことを懺悔し続ける。
「おじさま」
「やあ、星羅きてたのか」
「ええ、少しお話があったのだけど」
慶明も少しやつれているように見えた。
「何かな。ここでもいいかね」
「もちろん。あの、おめでとうございます。知らなくて」
「ああ、いいんだよ。貴晶、星羅だ。そなたの姉上のようなものだな」
「こんにちは」
「あうぅうむぅっ」
小柄な貴晶は声のほうに応じる。
「賢いですね。もう言ってることがわかるのかしら」
「どうだろうな。でも明樹と違って言葉が早そうだ。この子は少し虚弱だから、考えることのほうに長けているかもしれないね」
貴晶は赤ん坊にしては肉付きがあまり良くない。春衣が体調を悪くし、乳も出ないので乳母を迎えてたっぷり与えているということだが、そもそも量を飲まないらしい。
星羅は春衣がなぜか自分自身を責めている様子に理解ができず、慶明に聞いてみた。
「春衣さんが、自分のせいで赤ん坊が身弱と言ってましたけど、どうしてですか?」
「春衣がそんなことを? さあ、なぜだろうな。確かに子を産むには若くはないが……」
慶明も春衣の言葉の真意を知らない。今も寝台でぶつぶつと晶鈴に懺悔のような言葉をつぶやいている。
「私の後を継ぐのは、明樹ではなく貴晶のようだ。身体こそ強くないが、それが逆に薬師として適正になると思う」
「そうかもしれませんね」
春衣の欲望と独占欲は直接的には満たされなかったが、貴晶が慶明の跡継ぎになるという方向で叶う。残念ながらそうなったときの貴晶の姿を春衣は見ることが叶わないだろう。死の床で晶鈴に、星羅を亡き者にしようとしたことを懺悔し続ける。