この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第63章 63 胡晶鈴の娘
 医局長の陸慶明は、王族の定期健診を行っている。王族から信頼が厚いが、側室の春衣の具合が一向によくならず原因もつかめずにいるので、最近の慶明は自信を無くしている。

「薬師の不養生か? 元気がないようだが」

 王太子、曹隆明の脈診が終ると声を掛けられた。

「いえ、殿下。ちょっと多忙なもので」
「ならばよい」

 もともと美しい隆明だが、中年になり艶のある魅力が増してきている。いつもより機嫌もよさそうだ。

「殿下は今とても好調のようですね。何か良いことがありましたか?」
「ふふ。そうだな、ここ最近で一番楽しいかもしれぬ」

 萌黄色の光沢のある着物をゆったりと着込み、慶明に袖を直された隆明は白い歯を見せ笑う。心から元気になっているのかと思うと慶明は、ほっとするが続く言葉でぎょっとする。

「今、軍師省にいって聴講生をしておるのだ。見習いのものの一人が好ましくてな」
「え? 軍師見習い?」
「そうだ」

 見習いが3人いるが、隆明が好んでいるのは星羅だとすぐにわかった。

「それで、殿下はそのものをどうにかするおつもりで?」
「まだ見習いなのでどうにもできぬが、助手にでもなれば私のそばに置いてもよいかもしれぬな」
「いや、その、それは……」
「慶明よ。不思議な気持ちになるのだ。その青年に会うと、まるで若かりし頃の自分に戻ったように」

 星羅を通して、胡晶鈴を恋しがっているのは、慶明にもよくわかった。しかしこのまま、星羅をそばに置き、間違いでもあれば、慶明は一生、晶鈴に顔向けできないだろう。 
 嬉しそうな隆明を傷つけることになるかどうかわからないが、真実を告げぬままにはもうできない。傷は浅いうちのほうが直りは早いだろう。

「大事なお話があります」

 青ざめて沈痛な顔をする慶明に、隆明も顔から笑みが消える。官女たちに下がるようにつたえ、広い部屋はがらんどうになったような静けさをまとう。
/628ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ