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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第64章 64 初恋
「何かあったのか?」

 蒼樹が星羅に尋ねる。

「え? なにも? あ、今日借りた着物を返しに行くがいいかい?」
「ああ、かまわないが」
「では、終わったら家に帰ってから行くよ」

 学習を終え家に帰り、京湖によって手入れされた着物をもって郭家に訪れる。門にいた使用人が無表情で蒼樹の部屋を案内する。相変わらず物にも人にも無駄のない、合理的な屋敷に感心して部屋に入った。

「蒼樹。ありがとう。母が手入れをしてくれたからこのまま片付けてよいと思うが、気になったら確認してくれ」
「ああ、わかった」
「じゃ、これで」
「待てよ。茶ぐらい飲んでいけ。急いでるのか?」
「いや、特に」

 蒼樹がそう言うとすぐに茶が運ばれてきた。使用人に「呼ぶまで来なくてよい」と告げ、茶をすすめる。

「殿下と何かあったのか?」
「殿下と? いや、べつに……」
「慕っても報われないぞ」
「僕は軍師として」
「うそだ」

 いつの間にか蒼樹は星羅のすぐ目の前にいる。
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