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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第66章 66 酒場にて
「じゃあ兄さま。せっかく好きな人と結ばれても別れなければならないとしたらどうします?」
「ええ? 結ばれたのに別れる? そうだなあ」

 考えている明樹の答えを星羅はじっと待つ。

「やっぱり、あきらめるかな」
「そう……」
「なんだよ、さっきからそんなことばかり。ははーん。さては男に振られたんだろ」
「え、そ、そんなこと……」

 星羅は慌てて手を振り、杯を空ける。

「まあ、飲めよ」

 明樹は酒瓶を傾け、星羅と自分の杯になみなみと注ぐ。

「失恋したなら、もう次の恋に行け。ああそうだ。俺が娶ってやってもいいぞ」

 いきなりの発言に酒を吹き出しそうになった。

「家に帰ると、母上が早く結婚しろとうるさいのでな。なんか厄介払いみたいだ。はははっ」
「確かに、もうご結婚してもいい身分ですものね」
「しかし、来年は辺境に勤務なんだよ。新婚早々辺境ではな。夫人は連れて行かないつもりだが」
「お仕事をなさってる奥方なら離れてても平気なのでは?」
「いやあ。それが女兵士たちでも夫とは離れ離れになるのは嫌らしい」
「そういうものですか」
「星妹は平気か?」
「心が通じていれば、たぶん……」

 恋が終ったばかりで、全く想像がつかない結婚に甘い夢は見られなかった。
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