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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第70章 70 昇格
 末席で落ち着いてくると、上奏の内容なども聞こえてきて、官僚たちの顔も見ることができた。空席の玉座の隣に、王太子の曹隆明が座って上奏を聞いている。今、王は高齢で体調不良のため、朝議には出ていない。
 今、華夏国に大きな問題がないためか、朝議はスムーズに終わる。ある程度の派閥はあるが、激しく争うこともない。時々、上奏に矛盾が生じたり、数値がおかしいときなどに隆明が聞き返している。
 次期王である曹隆明の立派な姿に見とれていると「解散!」との声がかかり、星羅は我に返る。

「出るぞ」
「あ、うん」

 郭蒼樹に促され、混雑する前にすばやく退出した。星羅は、郭蒼樹の後をついて階段を下りる。同じ軍師省の空色の着物を着て、身分も助手と同じなのに、蒼樹は落ち着いていると星羅は感心する。

「さて軍師省にもどるか」
「そうだね」

 朝議の後は、見習いの時と同じく軍師省にて政の補助的な仕事をする。

「そういえば、上座のほうに蒼樹に似た方がおられたな。父君か?」
「ああ、そうだ」

 曹隆明のそばに、大軍師の馬秀永がいて、その隣に郭蒼樹に似た年配の男が立っていた。

「蒼樹は若いんだな」
「何を言ってるんだ。星雷と同い年だぞ」
「いやあ。普段大人びてるからさ」

 郭蒼樹の父親はよく似ているが、さすがに蒼樹よりも数段落ち着いていて貫禄があった。それを目の当たりにすると、いつも自分よりもずいぶん大人びていると思う蒼樹は、青年なんだと実感してリラックスする。
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