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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第72章 72 縁談
「で、どのようなご用件で」
「医局長の陸慶明殿をご存じだと思いますが」
「ええ、もちろん」
「こちらを預かってまいりました」

 机の上に風呂敷包みを広げて中から書状をとりだす。竹簡ではなく、上等な紙の巻物だ。手渡された彰浩は中に目を通し「星羅、こちらへ」と後ろのほうで様子を見ていた星羅を呼ぶ。

「読んでご覧」
「はい」

 それほど長い文章ではないが、星羅を十分に驚かせる内容だった。

「あなた?」

 京湖が心配そうに声を掛ける。京樹も黙って様子を見守っている。

「星羅に縁談の話だ」
「縁談? 陸殿から?」

 いきなりの話に慌てる京湖に張秘書監が「いやいや、息子の明樹殿ですよ」と説明した。陸慶明が張秘書監を仲人に立て、息子の明樹との縁談を持ってきたのだった。

「いい話だと思うが、星羅の意思を尊重したいので」
「ええ、ええ。先方もそう言ってました。で、こちらは星羅殿に」

 星のような桔梗のような形の花がちりばめられた金細工のかんざしだった。店先では見られないような繊細な造りはおそらく特注品であろうと思われる。

「綺麗ねえ。とても星羅に似合うと思うわ」
「ええ、綺麗」

 紺色の布地の上で輝くかんざしはまるで天の川のようだ。しかし朱家の4人は突然の申し出にどう反応したらいいのかわからず、陸慶明からの書状とかんざしを交互に見るだけだった。
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