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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第76章 76 陰謀の中心
 王妃の蘭加の部屋は、王族の中で、王よりも華美な贅沢品で占められている。豊かな髪は半分以上白いが何本もの金のかんざしがさしてあり、きらきらと光を受けて彼女の肌を明るく照らす。白い肌に頬は赤く染められ、額には蘭の花が描かれている。

王太子妃の側室の申陽菜も、化粧と香りに拘っているが、蘭加もそれ以上に凝っている。むせかえるようなじゃ香のにおいは彼女の妖艶さを引き立たせている。毒殺を好む妃たちの共通した性格と雰囲気に、慶明はうつむいたまま苦笑する。

「面を上げよ。どうじゃ。首尾は」
「はっ。今、自然に事が進むよう手配しております」
「まあ、突然死だと明らかに疑いがかかるわなぁ。健康を害しておるわけではないからのぉ。じゃが時間がかかりすぎても困るぞ? 王の具合もあるのだから」
「大丈夫です。お任せください。三月ほどで事は収まります」
「三月か……。王はその間もつか?」
「もちろんです。王は養生していただけば3年は平気でしょう」
「3年は長いな。博行が王太子に即位したなら、王も隆明の後を追わせよ」
「はっ。御意にございます」
「では、下がってよい」

 王妃の診察は今や陰謀の報告の時間になっている。この後はまた申陽菜のもとに行き同じような話をするのだった。
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