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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第85章 85 西の駐屯地
その店は関所の門の外すぐそばにある。国境に位置するが西国の店だ。西国と華夏国を行き来する客が、ここに立ち寄り、しばし西国との別れを惜しむか、初めて西国の文化に触れるかになる。またこの関所を守る兵士たちの中に常連もいる。門番の兵士が顔見知りであれば、兵士たちにとってその店に行くことは容易い。
さすがに西国から入国するものと、華夏国から出国するする者に対してはきちんとした検問が行われるが、平和な今、兵士の行き来は気楽なものだった。
門番にちょっとそこの店に行ってくると告げると「どうぞ、楽しんできてください」と笑顔で見送られる。明樹は苦笑して、後輩と門をくぐった。
馬に乗るまでもなく近場にその店はあった。宿屋も兼ねているようでほどほどに大きい。門の上についている看板には、西国のくねった蛇のような文字と一緒に、漢字で『美麻那』と書かれてあった。
今は繁忙期ではないようで店の中は空いている。明樹たちに気づいた西国の女人が大きな声と身振りで「ようこそ!」と出迎えた。艶やかな褐色の肌を持つ女を見て、星羅の母、京湖を思い出す。思わず星羅がいるのではないかときょろきょろと見回してしまった。
「兄貴、どうかしました?」
「いや、ちょっと知り合いに似てたので」
「あら、兄さんは西国の女に知り合いがいるの?」
店の女は、肌が透けるような薄い衣をひらひらさせて尋ねる。
「あ、まあ、ちょっとね」
「兄貴もお安くないなあ!」
妻の義母が西国人だというのは面倒なので適当にごまかしておいた。
「ご注文は?」
「咖哩飯を頼む」
「飲み物は?」
「あの、紅茶に乳と香辛料をいれたやつを」
「チャイね」
「じゃとりあえずそれで」
さすがに西国から入国するものと、華夏国から出国するする者に対してはきちんとした検問が行われるが、平和な今、兵士の行き来は気楽なものだった。
門番にちょっとそこの店に行ってくると告げると「どうぞ、楽しんできてください」と笑顔で見送られる。明樹は苦笑して、後輩と門をくぐった。
馬に乗るまでもなく近場にその店はあった。宿屋も兼ねているようでほどほどに大きい。門の上についている看板には、西国のくねった蛇のような文字と一緒に、漢字で『美麻那』と書かれてあった。
今は繁忙期ではないようで店の中は空いている。明樹たちに気づいた西国の女人が大きな声と身振りで「ようこそ!」と出迎えた。艶やかな褐色の肌を持つ女を見て、星羅の母、京湖を思い出す。思わず星羅がいるのではないかときょろきょろと見回してしまった。
「兄貴、どうかしました?」
「いや、ちょっと知り合いに似てたので」
「あら、兄さんは西国の女に知り合いがいるの?」
店の女は、肌が透けるような薄い衣をひらひらさせて尋ねる。
「あ、まあ、ちょっとね」
「兄貴もお安くないなあ!」
妻の義母が西国人だというのは面倒なので適当にごまかしておいた。
「ご注文は?」
「咖哩飯を頼む」
「飲み物は?」
「あの、紅茶に乳と香辛料をいれたやつを」
「チャイね」
「じゃとりあえずそれで」