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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第88章 88 捜索
 許仲典を伴い、星羅は明樹の勤務先にやってきた。この地を守る県令に面会を頼むとすんなり通され、事情を聞くことができたが書簡と同じ内容で詳しいことは何もわからなかった。

「調査はもうしてないのですか?」
「なんせ、西国の領土なのでなあ」

 平和ボケしたような県令は、とにかく何事も起こらないように穏便に済ませたいらしく、西国に掛け合うこともしないようだ。中央と違い辺境では、身代金を目当ての盗賊による誘拐はある。身代金の要求であればとっくに届いていてもいいはずだがそれはない。
 星羅が独自に調査するしかなかった。

「問題を大きくすることは辞めてほしい。国交問題になると今は特に厄介なのでな」

 男装をしている軍師の星羅を見ると、何か事を起こしそうに見えるのだろう。県令は、くぎを刺す。

「わかってます。大それたことはしません。夫の命に係わるかもしれませんし……」
「頼む。陸副隊長が使っていた家はそのままにしておるので」

 とりあえず、明樹が住まいにしていた家に赴き、これからのことを考えることにした。

「仲典さんはそちらの部屋を使って」
「んだ。星羅さんは少し休むといい。おらは馬を世話してくる」
「わたしも行くよ」
「いいや、おらだけでいい。まだまだこれからなんだから休んだほうがいい」

 許仲典の言うように、ろくに休まずにここまでやってきたので星羅は疲労困憊だった。明樹の使っていた寝台に横たわるとすぐに星羅は眠りに落ちていった。
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