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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第89章 89 『美麻那』
「二人を取り押さえて!」
女が厨房のほうに怒鳴ると、ガタイの良い男が数人やってきた。男たちは半裸で曲刀を手にしている。髪を束ねることなく無造作に伸ばしている。
「星羅さん! 逃げるだ!」
数人の男めがけて許仲典は腰から剣を抜き、飛び込むように切りかかった。彼が男たちと戦っている間に逃げるチャンスはあったが、許仲典を置いて逃げることはできなかった。自身も剣を抜き応戦する。
腕っぷしと勢いのいい許仲典が半数の男をなぎ倒し、星羅たちが優勢に見えた。
「あんたの夫が死んでもいいのっ?」
女の叫ぶ声で、星羅の動きは一瞬止まり、男によって剣を叩き落された。
「あっ!」
一瞬で形勢は逆転してしまう。星羅の喉に曲刀を当てられては、許仲典も剣を置くしかなかった。
「仲典さん、ごめん」
「いや、おらはいい……」
縛り上げられた二人は女の指示で、食堂から奥の部屋に連れていかれた。細い廊下は石畳で砂埃をかぶっている。黄砂がひどく掃いても掃いても入ってくるのだろう。
大人しく歩いている星羅の耳に男の呻く声が聞こえた。聞き間違えることのない明樹の声だ。星羅が気づいたことに気付いた女が「心配しなくていい。とにかく大人しくしてね」とにやりと笑う。
「会わせて」
「いいわよ」
女は明樹のいる部屋へ星羅を連れていく。
女が厨房のほうに怒鳴ると、ガタイの良い男が数人やってきた。男たちは半裸で曲刀を手にしている。髪を束ねることなく無造作に伸ばしている。
「星羅さん! 逃げるだ!」
数人の男めがけて許仲典は腰から剣を抜き、飛び込むように切りかかった。彼が男たちと戦っている間に逃げるチャンスはあったが、許仲典を置いて逃げることはできなかった。自身も剣を抜き応戦する。
腕っぷしと勢いのいい許仲典が半数の男をなぎ倒し、星羅たちが優勢に見えた。
「あんたの夫が死んでもいいのっ?」
女の叫ぶ声で、星羅の動きは一瞬止まり、男によって剣を叩き落された。
「あっ!」
一瞬で形勢は逆転してしまう。星羅の喉に曲刀を当てられては、許仲典も剣を置くしかなかった。
「仲典さん、ごめん」
「いや、おらはいい……」
縛り上げられた二人は女の指示で、食堂から奥の部屋に連れていかれた。細い廊下は石畳で砂埃をかぶっている。黄砂がひどく掃いても掃いても入ってくるのだろう。
大人しく歩いている星羅の耳に男の呻く声が聞こえた。聞き間違えることのない明樹の声だ。星羅が気づいたことに気付いた女が「心配しなくていい。とにかく大人しくしてね」とにやりと笑う。
「会わせて」
「いいわよ」
女は明樹のいる部屋へ星羅を連れていく。