この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第97章 97 冷宮
「姉上!」
「あ、ああ、李華、久しぶりね」
李華は大げさに桃華を姉と呼び再会を喜ぶ声をあげた。桃華は姉を見てぎょっとした。もともとほっそりしていた姉だが、頬がこけ、目がくぼみぎょろりと白目を大きく見せている。髪も本来の艶ではなく、油でぎらぎらさせているようだ。飢饉の影響が出ているのだと、桃華は胸を痛め、姉を抱きしめる。宮女にしばらく下がっているように告げ、人払いをさせる。
「李華、父上と母上は? あなただけなの? 夫君は?」
矢継ぎ早に桃華は李華に質問するが、彼女はふうっと息を吐くと「元に戻りましょう」と言葉を発した。
「ええ? 元にって? 一体……」
何を言いたいのか全く分からず、桃華は何度か瞬きをして姉を見つめた。
「元々私が桃華でしょ? 交換をやめましょうと言っているの」
「どうして、今頃……? 父上と母上は? 夫君は?」
再度同じことを尋ねると、姉は億劫そうに口を開く。
「とっくに死んだわよ」
「ええっ!? 」
懸念したとおりに飢饉の影響が呂家を襲っていた。備蓄もろくにないのに真面目な役人である呂家は自分の分まで貧しい人に食料を分けていたようだ。姉の夫は個人の食料争いに巻き込まれて、ケガがもとでなくなってしまった。独立した子供を頼ったが、すでに家族を持つ子供たちは母親の面倒など見る余裕などなかった。
「ね? わかるでしょ? 王妃になれば飢えないで済むと思うの」
「な、なにを今更?」
自分が恋人と結ばれたくて入れ替わったのに、また飢えたくないという理由で入れ替われという。
「あ、ああ、李華、久しぶりね」
李華は大げさに桃華を姉と呼び再会を喜ぶ声をあげた。桃華は姉を見てぎょっとした。もともとほっそりしていた姉だが、頬がこけ、目がくぼみぎょろりと白目を大きく見せている。髪も本来の艶ではなく、油でぎらぎらさせているようだ。飢饉の影響が出ているのだと、桃華は胸を痛め、姉を抱きしめる。宮女にしばらく下がっているように告げ、人払いをさせる。
「李華、父上と母上は? あなただけなの? 夫君は?」
矢継ぎ早に桃華は李華に質問するが、彼女はふうっと息を吐くと「元に戻りましょう」と言葉を発した。
「ええ? 元にって? 一体……」
何を言いたいのか全く分からず、桃華は何度か瞬きをして姉を見つめた。
「元々私が桃華でしょ? 交換をやめましょうと言っているの」
「どうして、今頃……? 父上と母上は? 夫君は?」
再度同じことを尋ねると、姉は億劫そうに口を開く。
「とっくに死んだわよ」
「ええっ!? 」
懸念したとおりに飢饉の影響が呂家を襲っていた。備蓄もろくにないのに真面目な役人である呂家は自分の分まで貧しい人に食料を分けていたようだ。姉の夫は個人の食料争いに巻き込まれて、ケガがもとでなくなってしまった。独立した子供を頼ったが、すでに家族を持つ子供たちは母親の面倒など見る余裕などなかった。
「ね? わかるでしょ? 王妃になれば飢えないで済むと思うの」
「な、なにを今更?」
自分が恋人と結ばれたくて入れ替わったのに、また飢えたくないという理由で入れ替われという。