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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第97章 97 冷宮
「ばれやしないわよ」
「いいえ。すぐにばれるわ。最近鏡を見ていないの?」
「鏡?」

 双子である彼女たちは両親ですら区別がつかぬほどそっくりだった。今は、顔立ちを変えてしまうほどの年月と人格が見える。常に心労で臥せってきた桃華は愁いを含んだまなざしをそっと鏡に映す。じろりと姉が鏡をのぞき込む。

「あ、あたし?」

 ぎょろりとした白目がちな目はきつく吊り上がり、唇は薄く口角がへの字に下がっている。眉間の皴は深くきつい表情になっている。おそらく、両親にも夫にもわがままを通し、常に高圧的な態度であったのだろう。誠実さと優しさに満ちていれば、独立した子供たちも母親を見捨てるようなことはしない。

「もう入れ替わることはできないわ。でも陛下に頼んでみるわ。ここに置いてもらえるようにと」
「嫌よ。あたしが王妃なのよ! 陛下に全部話すわ! 本当の王妃はあたしですって!」
「そ、それだけはやめて。そんなこと話せばどうなるか……」
「あんたが罰を受けるだけよ! きっと!」
「そ、そんな」

 震える桃華に、姉は勝ち誇った顔を見せた。そこへ宮女から「陛下のおなーりー」と声がかかった。びくっとする桃華を押しのけて、李華はぎらぎらと目を光らせ、腰を落とし、頭を下げ曹隆明を待った。
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