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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第97章 97 冷宮
「面を上げよ」
曹隆明はゆっくりと李華に声を掛けた後、宮女にまた下がるように言いつけ、桃華に目を向けた。
「へ、陛下」
慌てて頭を下げる桃華に「よい」と笑んでからまた李華に目を向ける。
「妹君、ごきげんよう」
「陛下! お会いできて光栄でございます。実は大事な話があって参りましたの!」
「大事な話?」
「ええ、ええ。実はあたしと桃華は本当は――」
そう言いかけた李華の口は、すっと後ろから出てきた黒い影にふさがれる。
「んー! んー!」
「妹君。それ以上話されるとさすがに命の保証ができないのだ」
目を見開きもがいている李華を、唖然として見ていた桃華は「あ、あの、陛下……」と震えながらそばに寄ってきた。
「案ずるな。そなたはそこに座っていなさい」
倒れそうなほど真っ青な顔をしている桃華を座らせ、また隆明は李華に続きを話す。
「そなたは妃の家族なので命までは奪いはせぬ。しかし王朝に危機を招く人物でもあるようだ」
「んー! んー!」
「せめて。選ばせてあげよう。毒杯をあおるか、冷宮で生涯を送るか」
隆明が手をさっとあげると宮女が白磁の高杯を持ってきた。目の前に出された高杯の中身は毒だとわかると李華は激しく首を振り涙を流した。
「よろしい。ではこの者を冷宮へ」
全身黒ずくめの人物は、そのまま李華の後頭部に手刀をうち気絶させ運んでいった。胸を抑えている桃華に隆明は静かに話しかける。
曹隆明はゆっくりと李華に声を掛けた後、宮女にまた下がるように言いつけ、桃華に目を向けた。
「へ、陛下」
慌てて頭を下げる桃華に「よい」と笑んでからまた李華に目を向ける。
「妹君、ごきげんよう」
「陛下! お会いできて光栄でございます。実は大事な話があって参りましたの!」
「大事な話?」
「ええ、ええ。実はあたしと桃華は本当は――」
そう言いかけた李華の口は、すっと後ろから出てきた黒い影にふさがれる。
「んー! んー!」
「妹君。それ以上話されるとさすがに命の保証ができないのだ」
目を見開きもがいている李華を、唖然として見ていた桃華は「あ、あの、陛下……」と震えながらそばに寄ってきた。
「案ずるな。そなたはそこに座っていなさい」
倒れそうなほど真っ青な顔をしている桃華を座らせ、また隆明は李華に続きを話す。
「そなたは妃の家族なので命までは奪いはせぬ。しかし王朝に危機を招く人物でもあるようだ」
「んー! んー!」
「せめて。選ばせてあげよう。毒杯をあおるか、冷宮で生涯を送るか」
隆明が手をさっとあげると宮女が白磁の高杯を持ってきた。目の前に出された高杯の中身は毒だとわかると李華は激しく首を振り涙を流した。
「よろしい。ではこの者を冷宮へ」
全身黒ずくめの人物は、そのまま李華の後頭部に手刀をうち気絶させ運んでいった。胸を抑えている桃華に隆明は静かに話しかける。