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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第100章 100 母親
「徳樹。今日からあたくしが母上になるわ」
「母上?」
徳樹は丸い目をして見上げる。そして星羅をみて「かあさまは?」と尋ねる。
「もちろんかあさまはかあさまよ」
杏華公主の言葉に徳樹は「ふーん」と杏華公主と星羅を見比べる。
星羅は幼少のころを思い出していた。西国人である朱京湖を母と信じて疑わなかったこと。しかし実は別に生みの母がいること。そして兄の京樹が星羅には二人も母がいると言ったこと。星羅は心の中で「京にい……」とつぶやいた。今更ながら、彼が自分をずっと静かに見守ってきてくれていたのだと感謝が沸き上がる。
「お庭にいきましょうか」
杏華公主の誘いに徳樹は嬉しそうに目を輝かせる。庭に出ると、徳樹はあれは何かこれは何かと官女に尋ねる。
ふうっと腰掛ける杏華公主に目をやると汗ばみ、顔を紅潮させている。
「あの、お加減は大丈夫でしょうか」
「ええ、身体が強くないので臥せってばかりだったのだけど、徳樹の話を聞いてからなんだか元気になってきた気がするの」
徳樹を養子にするにあたり、心配なのは杏華公主の健康状態だった。もともと成人できぬかもしれないと言われていた身弱な公主だった。医局長の陸慶明の強壮剤によって維持されていると言っても良かった。
「母上?」
徳樹は丸い目をして見上げる。そして星羅をみて「かあさまは?」と尋ねる。
「もちろんかあさまはかあさまよ」
杏華公主の言葉に徳樹は「ふーん」と杏華公主と星羅を見比べる。
星羅は幼少のころを思い出していた。西国人である朱京湖を母と信じて疑わなかったこと。しかし実は別に生みの母がいること。そして兄の京樹が星羅には二人も母がいると言ったこと。星羅は心の中で「京にい……」とつぶやいた。今更ながら、彼が自分をずっと静かに見守ってきてくれていたのだと感謝が沸き上がる。
「お庭にいきましょうか」
杏華公主の誘いに徳樹は嬉しそうに目を輝かせる。庭に出ると、徳樹はあれは何かこれは何かと官女に尋ねる。
ふうっと腰掛ける杏華公主に目をやると汗ばみ、顔を紅潮させている。
「あの、お加減は大丈夫でしょうか」
「ええ、身体が強くないので臥せってばかりだったのだけど、徳樹の話を聞いてからなんだか元気になってきた気がするの」
徳樹を養子にするにあたり、心配なのは杏華公主の健康状態だった。もともと成人できぬかもしれないと言われていた身弱な公主だった。医局長の陸慶明の強壮剤によって維持されていると言っても良かった。