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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第104章 104 母の行方
 都の門を抜け、北の宿場町まで一本道で迷うことはない。草木が枯れ殺伐としたかつての草原を駆け抜ける。途中で小川があったので優々に水を飲ませ、草を食べさせた。

「優々の食べる草がまだ生えていて良かったわ。人もあなたたちみたいにこんな草を食べられるといいわね」

 草食動物たちは、雑草と苔やシダなどでなんとか食いつないでいるところだった。しかしこの飢饉で、食用になってしまった農耕用の牛や馬も多い。少し休んだ優々はヒヒンッと啼き、星羅に出発できると合図する。

「平気? もういいの?」

 ブルルと身震いし優々が顔を上げたので星羅は出発する。しばらく走ると、歩く人がまばらに見え、同時に宿場町の門が見えた。胸元から身分証の札を出し、馬から降りて門番に見せる。

「軍師様。どうぞ」

 見習いではない星羅は、もう軍師と呼ばれる。面映ゆい気分だが頭を下げ通る。そして手が空いている兵士に、女の旅人が昨日か今日やってきていないか尋ねる。食料が足りていないであろう、痩せた兵士は虚ろな目で記憶をたどっている。

「え、と。確か今朝早くそのような女人が入ってきました。でもお一人ではなかったような」
「一人ではなかった? 連れがいたのかしら。どこへ行ったかわかる?」
「うーん。行先までは。でもここを出ていないので町の中だとは思います」

 空腹でしっかりしていない兵士に、これ以上質問するのも気の毒で辞めた。現在、元気に旅をするものなどいないので、胡晶鈴がこの町に来たことは確かだろう。小さな町なのでとりあえず宿屋に向かう。

「母は一人ではないのかしら」

 連れがいるかもしれないという話を思い出しながら、宿屋に入る。旅人のいない静かな宿場町は、宿屋の前で呼び込みをする者はいなかった。
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