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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第118章 118 西国への旅
 古代、西国へ道のりは険しく何年もかけてたどり着いていたが、今は道が切り拓かれ、整備され交通の便も良くなったおかげで早馬であればひと月でたどり着く。多くの荷物を携え、ゆっくり行っても三ヵ月ほどで帰ってこられるだろう。
 国内の治安もよく、西国につけば、そこからは西国の兵士たちが出迎えてくれることになっているので、星羅と蒼樹は数名の兵士とともに小さな隊を組んで出発する。

 通りがかりの各県を訪れ、視察もするので仕事と言えば仕事だが、星羅と蒼樹にとって旅行のようだった。華夏国は東西南北にわたり広い国土を持っている。それゆえ同じ民族であっても微妙に風俗が違う。西国に近づくにつれ、言葉も変化する。

 国難の際に、星羅も蒼樹も国内のあちこちを巡ったが、風景や食事など楽しむ余裕はなかった。暴動を抑え、食料を配給し、避難民を整えるばかりだった。

「西国に近づくと料理がだんだん辛くなってきたわね」
「こちらの味に馴染むと都の淡白な味付けが物足りなくなるな」
「郭家は特に薄味ね」
「刺激の強いものは、冷静さを失わせるという家訓だが、今回の冷害ではさすがに鷹の爪を良く食した気がする」
「本場の咖哩が楽しみだわ」

 移り変わる景色を楽しみ、その土地の食べ物を味わった。仕事上での蒼樹の理性的で合理的な考え方や、決断の速さなどを見てきて、彼のことを良く知っていると思っていたが、衣食住に関することでは新たな発見が多かった。
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