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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第14章 14 都を後にして
 髪飾り一つつけず、丈夫で質素な着物と履物をそろえた。荷物は風呂敷包みに一つだけだ。とりあえず路銀と流雲石があればなんとかなるだろう。物思いにふけっていると少しずつ日が差してきた。

「朝ね。門が空くわ」

 日の光を背に、関所に向かった。

 まだまだ静かなくらい都の中を、目に焼き付けながら歩く。店の扉は硬く閉まっていて、人々はやっと床から身体を起こすだろう。関所に着くとちょうど兵士たちが交代するところだった。若い青年兵士たちは目をこすりながら、槍をもって門の前に立っている。

「もうじき開くかしら?」

 晶鈴が通行手形を見せながら尋ねる。

「もうじきです」

 しっかり通行手形を確認することなく、兵士は答える。平和な今は関所は形ばかりだった。危険な人物を排除するというより、安全な旅のために関所は機能している。民族が統一されてから国は大きく豊かになったので、外敵から大きな戦争を仕掛けられることはない。もっともっと遠くの国々も、同時期に戦国時代を抜けているのだろう。
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