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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第14章 14 都を後にして
開き始めた大きな門に近づくと「晶鈴」と声をかけるものがあった。
「慶明……」
「見送るといっただろう」
「ああ、そうだったわね」
慶明の後ろから、下女だった春衣がそっと出てくる。
「晶鈴さま……」
「来てくれたの、春衣。ごめんね」
「いえ、わたしのことなど。次の職場を紹介してもらっただけでも……」
春衣は慶明のところで働かせてもらえるように頼んでおいた。
「春衣のこと、頼むわ。とても働き者で気が利くの」
「ああ、よく知ってる。それと、これを」
大きな袖の中から慶明は青銅の厚みのある板を一つとりだした。『中央医局 薬師 陸慶明』と書かれている印章だ。
「何かあれば、これを使うといい。便宜が図りやすくなる」
「いいわよ。使うことないと思うから」
「持っておけ。何かにはなる。地方でも役に立つから」
遠慮する晶鈴に、慶明は無理やりにでも持たせる。手の中の印章の文字を晶鈴はそっとなぞる。
「慶明……」
「見送るといっただろう」
「ああ、そうだったわね」
慶明の後ろから、下女だった春衣がそっと出てくる。
「晶鈴さま……」
「来てくれたの、春衣。ごめんね」
「いえ、わたしのことなど。次の職場を紹介してもらっただけでも……」
春衣は慶明のところで働かせてもらえるように頼んでおいた。
「春衣のこと、頼むわ。とても働き者で気が利くの」
「ああ、よく知ってる。それと、これを」
大きな袖の中から慶明は青銅の厚みのある板を一つとりだした。『中央医局 薬師 陸慶明』と書かれている印章だ。
「何かあれば、これを使うといい。便宜が図りやすくなる」
「いいわよ。使うことないと思うから」
「持っておけ。何かにはなる。地方でも役に立つから」
遠慮する晶鈴に、慶明は無理やりにでも持たせる。手の中の印章の文字を晶鈴はそっとなぞる。