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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第17章 17 町から町へ
「では、どうぞ」
いよいよ晶鈴の番となった。中に通されると薄暗く、もやがかかっている。香が煙るほど焚かれているようだ。匂いに胸がムカムカするので晶鈴は袖で鼻先を押さえ席に着いた。暗がりで目を凝らすと頭から布を被った、恐らく老女が座ってこちらを見ている。しわがれた声で「名は?」と聞かれた。
「胡晶鈴です」
「夫の仕事を聞きたいのかな? それとも子供が授かるかどうかかな?」
「え、あ、えーっと……」
下女から聞いた話をこの老女に伝えているのだろう。ここで普通なら夫や子供の相談に来たことが分かったと驚くのだろう。下女を使って情報をとりだし、誘導尋問によって当てていこうという方法なのだと晶鈴は悟る。
「あの、これから幸せな生活が送れるでしょうか?」
ついつい漠然としたことを聞いてしまう。老女はしめた、という顔をする。おほんと咳払いすると「そなたの心がけ次第じゃ」と恭しく告げる。
「心がけとは?」
「自分より貧しいものがいたら施しをするとよい。徳につながるのでな」
そのあと、商売には北東へ行くとよいとか、南の温泉には子を授かる効果があるなど教わった。礼を言い、銀貨二枚を支払って晶鈴は外に出た。
下女がさっき恰幅の良い男に言っていたそのままのセリフを晶鈴に告げるので、晶鈴も男と同じように銅貨を渡した。
「相談する人はどれくらいいるの?」
「えーっと他の町の占い師は月に5人くらいでしょうけど、うちの先生は少なくても三日に一人は来ますよ」
格の違いを見せるような言い方で下女を余裕のある態度をとる。月に5人でも十分な報酬になるが、ここの老女は評判通りよく儲けているようだ。
「これくらいでやっていけるのねえ」
「ん? なにか?」
「いえいえ、お世話になりました」
頭を下げて立ち去った。占い師の老女は悪人ではなかったが、ただの話相手のようだった。
いよいよ晶鈴の番となった。中に通されると薄暗く、もやがかかっている。香が煙るほど焚かれているようだ。匂いに胸がムカムカするので晶鈴は袖で鼻先を押さえ席に着いた。暗がりで目を凝らすと頭から布を被った、恐らく老女が座ってこちらを見ている。しわがれた声で「名は?」と聞かれた。
「胡晶鈴です」
「夫の仕事を聞きたいのかな? それとも子供が授かるかどうかかな?」
「え、あ、えーっと……」
下女から聞いた話をこの老女に伝えているのだろう。ここで普通なら夫や子供の相談に来たことが分かったと驚くのだろう。下女を使って情報をとりだし、誘導尋問によって当てていこうという方法なのだと晶鈴は悟る。
「あの、これから幸せな生活が送れるでしょうか?」
ついつい漠然としたことを聞いてしまう。老女はしめた、という顔をする。おほんと咳払いすると「そなたの心がけ次第じゃ」と恭しく告げる。
「心がけとは?」
「自分より貧しいものがいたら施しをするとよい。徳につながるのでな」
そのあと、商売には北東へ行くとよいとか、南の温泉には子を授かる効果があるなど教わった。礼を言い、銀貨二枚を支払って晶鈴は外に出た。
下女がさっき恰幅の良い男に言っていたそのままのセリフを晶鈴に告げるので、晶鈴も男と同じように銅貨を渡した。
「相談する人はどれくらいいるの?」
「えーっと他の町の占い師は月に5人くらいでしょうけど、うちの先生は少なくても三日に一人は来ますよ」
格の違いを見せるような言い方で下女を余裕のある態度をとる。月に5人でも十分な報酬になるが、ここの老女は評判通りよく儲けているようだ。
「これくらいでやっていけるのねえ」
「ん? なにか?」
「いえいえ、お世話になりました」
頭を下げて立ち去った。占い師の老女は悪人ではなかったが、ただの話相手のようだった。