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女子大生綾子の淫らなポテンシャル
第55章 盗撮されるオンナたち



主演女優としてミドリを抜擢した健一は、
その時に放送研究部の時期部長になることが
決まっていた。


演出は厳しかったけれど的確で
ミドリは、健一に演出されるのであれば、
自分がもっと成長できると感じていた。


女子高生時代に、担任の奴隷にされていた
忌まわしい過去があるミドリは、
男性不信になるほどのトラウマがあった。
言い寄ってくる男性は数知れず、
優しそうな何人かと付き合ったことはあっても
交際は長続きしていなかった。


そんなところに現れた健一は、
女優としてのミドリの魅力にいち早く気づいていた。
まだ端役しか経験がなかったミドリのために
脚本を書き、その企画が放送研究部でも認められ、
他の女優を押しのけて、ミドリが主演に
抜擢されたのだ。

健一が書く言葉は、声に出しても心地よく、
まさに自分のために書かれたものだと嬉しかった。
稽古の時から、感情豊かに表現できて、
周りからも評判が良かった。


周りの女優からの嫉みも気にならないくらいに、
健一が自分を褒めちぎってくれるのが嬉しくて、
ミドリも心を開いていくようになった。


「言葉に愛がないんだよ、
どうせチヤホヤされて生きてきたんだろ。
女優はな、顔じゃないんだよ、
心、ハートなんだよ、
そんな言葉じゃ、全然響かね〜よ」


ミドリにとって、そんなショックな言葉はなかった。
心を込めて、セリフに向かい合っていると
自分では思っていた。


落ち込んでいる横で、
それまで健一の演出で主演をしていた先輩の女優が、
ミドリのために書かれたセリフを
自分のもののように演じていた。


私の役なのに、取られちゃった。


ミドリは稽古場にい続ける気持ちにはなれず、
廊下に出て涙を流した。
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