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女子大生綾子の淫らなポテンシャル
第55章 盗撮されるオンナたち




ミドリにとっては、衝撃な言葉だった。
入部した時に先輩から
「カラダ目当ての男子いるから、気をつけるのよ」
なんて言われたこともあったけど、
ミドリの気高い雰囲気もあってか、
そういう男は放送研究部では寄ってこなかった。



「違うって。ちょっと雰囲気、
変えてみたかっただけ。
やっぱりあの役は、向いてないよ」
「そんなのわかってるって〜。
私のためのセリフじゃないのは、演技しててすぐ気づいたから。
あのミドリって子のために書いたんでしょ。
もしかして、もうやっちゃったの?」


物陰から聞いていたミドリには、
さらなる衝撃的な内容だった。
健一からは、演出を受けても、
そんな性的なことは感じたことがなかった。


「やっちゃう」って、
もしかして、カラダ目当てだったってこと?
一瞬、過ぎった不安は、
それに続いた健一の言葉にすぐにかき消された。


「違うって。彼女見てると
イメージが湧いて、言葉が溢れ出てくるんだよ。
いい作品を作れるって、自信があるんだ」


「そんなカッコイイこと言っちゃってさ。
私には、健一から彼女への
ラブレターにしか思えなかったわよ。

彼女が健一の今の女神(ミューズ)ってわけね。
羨ましくって嫉妬しちゃう。

ま、ヤリたくなったらまた声掛けてよ〜。
絶対、ヤらせないから、じゃあね〜」


ラブレターなの?
ミューズなの?
そんなの聞いちゃってよかったのかな?
呆然と立ち尽くしていると健一に見つかってしまった?


「やばっ、聞かれちゃった?
っか、なんでこんなとこにいるの?」
「え、あ、演技うまくできなくて、
ごめんなさいって思って」
「そんなの気にしてたの?
俺って、そういうの引きずらないから、
今日のことは夜の闇に消え去って、
明日はまた新しい明日が生まれてくるんだよ」


「明日はまた、え、あ、終電が」
「もう、間に合わないよ、
よかったら、上がってく?
綺麗じゃないけど」
「え、あ」
「さっきから、そればっか。
手なんか出さないから、平気だよ」


その言葉を信じていいのか、
逡巡したけれど、さっき物陰で
聞いていた言葉には、嘘はないと思った。
私を見ていると言葉があふれ出てくる、
そんな嬉しいことはなかった。


この時は健一はミドリにとって
まだ信用できる存在だったのだ。
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