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女子大生綾子の淫らなポテンシャル
第57章 闇のシナリオ・凶犯者
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画面が日中の
風景に切り替わった。
風の音がする。


「夏の空、白い雲、
レモンスカッシュ、
シュワシュワと、
はじけて消えた、
あなたの、後ろ姿」


詩情的な女性の声が聞こえてきて、
いきなり、画面に
ピンボケの女性の顔が映った。


遠景からグングンとピントが合っていくと
それは、ミドリの横顔だった。
ドリンクをストローで飲んでいるようだ。


映像には健一の声も
収められている。


「その目線、いいねえ、
もっと遠くを見つめてみて。


夏空の下で一緒に飲んだ
レモンスカッシュ。
でも今は、一人。
ほろ苦さしか感じない。


泡がはじけるたびに、
去っていった男のことを思う。


でもあの日々はもう戻らない。
甘く酸っぱい思い出を
ごっくんて飲み込むんだよ。
そして、ゆっくりと明日を思う。


そうそれ、憂いの中にも
かすかな光、
観ている人にもきぼうの火を
灯してあげるんだ。


いいね〜。
ジーンとする、、、
すごくいい、、、」


健一に褒められることが嬉しすぎた。
舞台と映像は全然違うけれど、
健一ならきっと、かすかな表情まで
掬い取ってくれるように思えた。


「今日の稽古のミドリちゃんも素晴らしかったけど、
映像もいけるね〜。
やっぱ、俺が見込んだ女優は違うなぁ。
今度の舞台が終わったら、
映像も撮ってみる?」


「そうですかぁ。
でもビデオに撮られたことないから、
カメラがあると、
恥ずかしいんですけど」


放送研究部は、舞台だけではなく
映像作品も作っていたから、
健一がハンディカメラを持ち歩いていた。


稽古の後、ちょっと撮るのに
付き合ってほしいと誘われたのだ。
嫌な気はしなかった。
演技の参考になるかもと、ミドリも付いてきていた。
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