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女子大生綾子の淫らなポテンシャル
第2章 清らかな出会いは淫らのはじまり
3

「いつも楽しそうですね、タツヤ先輩」
「うん、すっごくね」

大学での授業が終わった後、
綾子は自転車で隣の大学の放送研究部まで来ていた。
今日は、スタッフだけだ。
演劇部や吹奏楽部も使う小ホール
(といっても客席はパイプ椅子、
ちょっとした照明があるだけ)

朗読劇と言っても多少の照明の演出はある。
そのプランを考え当日の操作もしなければならない。
プランはタツヤが任されている。
誰もやりたくないまさに裏方仕事。
でもタツヤは率先して引き受けた。
なんでも、どこかの劇場で見た照明に
感動したらしい。
でも一人では無理なのでということで
綾子が誘われた。
「どうして、あたしだったんですか?」
「一番、賢そうだったから。
理系でしょ?」
「一浪してますけど」
「そんなの関係ないよ、
一年なんて誤差のうち」

高校時代も進学校の綾子の周りには
頭がいい学生ばっかりだった。
だから「賢そう」そう言われたのは嬉しかった。
そんなこと言われたことない。
「それにさ、この間、
紫陽花、じっと見てたでしょ。
花が好きな人って、いいよね」
「あ、見られてました?」
「紫陽花の花の数、数えている感じだった。
夢中そうだったから声かけれなかったけど」
照明のコードを引きながら、
素っ気ない感じで話しかけてくる。
歳は違うけど、話が合いそうな感じ。
東京に来てこんな男の人には初めて会ったな。
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