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真紅の花嫁
第7章 肌色の動画
〈調教レポート〉というのが何を意味しているのか、充分すぎるくらいわかった。
五つある映像ファイルがすべてこうしたものなら、良家の子女をたぶらかした記録なのだろう。
要するに、ここにあるファイルの過程を経て、昨日の夜の状況があるわけだ。
記録の目的は、単なる趣味なのか、のちのち恐喝にでも使うつもりなのか、不明だが。
問題は、これを真波に渡した理由である。
誰にも言うなという、昨夜の警告の念押しだろうか。
(もししゃべったら、お前もこうなるぞ、ってこと?)
でも、そうなら、よけい真波に警戒させたり、対策を練る余裕を与えることになりはしないか。
(どっちにしたって、高校生のすることじゃない)
まるで、ヤクザか変態中年のようではないか。
いくら大人びているとはいえ、十七歳の高校生が単独で行っているとは思えなかった。
裏に怪しげな組織があるのだとしたら、真波の手には負えない。
犯罪が絡んでいる可能性もある。
美術館の責任者よりも、警察に通告すべき懸案だろう。
けれど、何といっても、姫川家当主のひとり娘が当事者だ。
こんなことが公《おおや》けになれば、朝比奈市じゅうが大騒ぎとなる。