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真紅の花嫁
第8章 紫苑の教師
「実は、そのことでご相談があって来たんです。
望月さんは桐原くんの異性交遊について、どうお考えなんでしょうか」
真波の物言いがおかしかったのか、紀美子はプッと吹き出した。
はじめて冷たい表情が崩れた。
「あなた、PTAの役員みたい」
肩をゆすって、くすくすと笑う。
「本当に美術館で働いていらっしゃるの?
芸術好きの人の言葉とも思えない」
ムッとした。
つい、きつい口調になる。
「望月さんは桐原くんとはどういうご関係なんでしょうか」
「だから、保護者よ。
あなたがそう言ったのよ」
「親戚の方なんですか?」
「血のつながりはないの。
矢崎さんとおっしゃったかしら。
あなたと似たような立場」
「え?」
「亮が中学の時の美術教師」
予期せぬ情報に、眼を丸くする。
だが、言われてみれば、確かに彼女にはそんな雰囲気があった。