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真紅の花嫁
第8章 紫苑の教師
少年と二人きりの空間が、重苦しくのしかかる。
真波は護身具の入ったバッグを膝に抱え直した。
「……今の女性は?」
「前に言っただろ。親戚のおばさん。
というより、金づるかな。
ほら、これが今月の生活費。少ないけどね」
封筒の中身を一瞥して、亮は肩をすくめた。
先ほどまでの紀美子に対する悪感情が失せ、この若い暴君への不快感へと変わる。
「中学の時の先生なんですって?」
「あいつ、そんなことまで言ったの?
まあ、そうだけど」
「このマンションだって、安くないでしょう」
「うん。教師の給料じゃあ、とても借りられない。
そっちの方は、別のスポンサーがいるんだ。
そのうち、紹介するよ」
可愛い顔で、とんでもないことをさらりと言う。
どこまでが事実で、どこからが出まかせなのか、表情をうかがうだけでは検討がつかなかった。