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真紅の花嫁
第8章 紫苑の教師


しかし、これで、これらのファイルを真波に渡した理由ははっきりした。
脅迫だ。


こんな映像が公開されたら、もはや、どんな言い訳も不可能である。

保身だけではない。
なにより陽介を傷つけるのが恐かった。
それだけは避けなくてはならなかった。


「真波さん、すごく怖い顔してる」

亮に言われ、はっと我に返る。
気がつくと、バッグを抱えた手を固く握りしめていた。

「今日、真波さんが来てくれたのは、例の件でしょ?
  映像ファイル。最後まで見てくれたんだよね」

「……見たわ」

「感想は?」

真波はきつい眼で亮をにらんだ。どう言えばいいというのだ。
〈怖い顔〉にもなろうというものだ。


真波の苦々しい気持ちなどおかまいなしに、少年は喜々として語りだす。

「よく撮れてたでしょう?
 夜の屋外の撮影ははじめてだったんで心配したけど、杞憂だったな。
 綾音のフェラも、真波さんのはだかも、はっきりと映っていて、びっくりした。

   おっきなおっぱいが、ぷるンぷるン揺れてさ。
イキそうになった真波さんの表情なんか、めちゃエロかっ……」

「いいかげんにしなさいっ!」

真波はたまらず、亮の言葉をさえぎった。


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